設立趣意

 1980年代から90年代にかけて、北米を中心として急速に進展したスポーツのビジネス化と産業化にともなって、スポーツマネジメントに対する関心は世界的な高まりをみせました。それと並行して、高等教育における専門家の養成と学問的知識体系の整備が急務となり、1987年には北米スポーツマネジメント学会(NASSM)が発足しました。この時期から多くの大学に学科やコースが設置され始め、現在北米では、200以上の大学にスポーツマネジメント関連の学科やコースが存在します。

 ヨーロッパでは、1994年にヨーロッパスポーツマネジメント学会(EASM)が発足し、オーストラリアとニュージーランドでは、1998年にオーストラリア・ニュージーランドスポーツマネジメント学会(SMAANZ)が組織されました。さらにアジアでは、2002年にアジアスポーツマネジメント学会(AASM)が発足しました。これによって北米、ヨーロッパ、オセアニア、アジアの4地域にスポーツマネジメントの学会組織が形成されるに至りました。

 一般に、科学の発展とパラダイムの形成には、大学の学部学科構成およびその制度を支える支持集団としての職業集団、そして研究成果を開示する学会および、研究業績を蓄積する学術雑誌が不可欠ですが、スポーツマネジメントの発展もまた通常科学の発展過程と軌を一つにしています。しかしながらわが国の場合、スポーツのビジネス化と産業化はようやく緒についたばかりで、スポーツマネジメントの職業集団や、研究成果を共有する専門家集団の形成は欧米に比べると遅れています。

 このような状況をかんがみ、ここにスポーツマネジメント理論の研究者およびそれに積極的に関心を持つ関連諸分野の研究者や専門家からなる研究組織を編成し、明確な目的意識と方法論をもって、学問としてのスポーツマネジメントの確立をはかることを意図して、日本スポーツマネジメント学会を設立しました。この学会は今後、日本とアジア全体で活発化するスポーツビジネスやスポーツツーリズム、そしてスポーツと地域イノベーションといった多様な視点から、スポーツマネジメント研究の発展に寄与いたします。また、国内のスポーツマネジメントに関する教育・研究の諸問題に取り組むだけでなく、AASM、NASSM、EASM、SMAANZといった海外の学会組織との連携を視野に入れた活動を展開いたします。

icon_pdf.gif 発起人名簿(PDF形式:5KB)